性教育を始めるべき3つのタイミングとその理由
前回の家庭で性教育をする理由についての記事を読んでいただいた方は、小学校の性教育を待たず家庭で性教育を始めるべき、ということがおわかりいただけたと思います。
では「何歳から性教育を始めるべきなの?」「うちの子はもう〇歳だけど大丈夫?」
といつから性教育を始めればいいのかわからず、スタートできていないご家庭もあるかもしれません。
この記事を読めば、性教育を始めるベストな時期とその理由がわかります。
性教育の開始のベストな時期
結論から言うと、性教育開始のベストな時期は①~③の順番となります。
①産まれたときから(0歳から)
②4~5歳ごろから
③10歳までに
順に理由を述べていきます。
産まれたとき(0歳)からの性教育
「産まれてすぐの赤ちゃんに性教育?一体なにをするの?」と思われたのではないでしょうか。実はみなさんはすでに性教育を始めてくださっているんです。
例えば、オムツを交換するときには「〇〇ちゃん、今からオムツ交換するからオムツ外すよ~」、お風呂に入るときには「今から服脱ぐね~」と声をかけたりしませんか?
どちらも立派な性教育なんです(^^)
プライベートゾーンという言葉があります。プライベートゾーンとは、人に見せたり触らせたりしない自分だけの大切な部分のことで胸、性器、おしり、あと口の4か所です。水着で隠れる部分なので子どもにわかりやすいよう水着ゾーンとも言われています。
オムツを変えるときや着替えをするときは子どものプライベートゾーンを見たり触ったりすることになります。親だったら簡単に触っていいのかというとそうではありません。お母さんお父さんの日々の関わりで、大切な場所だと認識するようになるのです。プライベートゾーンを見たり触る時には必ず声をかけてあげましょう(^^)
また、うんちが出ているとき、どんな声をかけるのがベストでしょう。
①「いいうんちでたね~頑張ったね。うんちばいばいしようね~」
②「わあ!汚い!臭い臭い!早くオムツ替えるね!」
①のほうが良さそうな気がしますよね(^^)
②の場合、確かにうんち自体は清潔なものではないでしょう。しかし、うんちは「食べたのものや飲んだものの栄養や水分を体に取り込んだ残り」です。うんちが出ないと困りますし、とっても大切な役割があります。②の場合は、うんちが汚い・臭いと言っているのですが、子どもはプライベートゾーンが汚い・臭いと言われていると感じるかもしれず、汚いところだと認識し嫌悪感を抱いたり、自身の体を大切にできないということになりかねません。陰部を「汚い場所」と表現するよりも「大切な場所」と表現し伝えていくようにしましょう。
また、性教育とは人の基盤を作る教育で、愛の教育とも言われています。
「自分は大切にされている、産まれてきてよかったんだ」と思えるよう関わることが大切です。反対に「私は誰からも必要とされていない、大切にしてもらえていない。」と感じている人では後の人生に影響が出ます。
人生で壁にぶつかったとき、乗り越えられそうなのはどちらのタイプの人でしょう。
人や物を大切にできるのはどちらのタイプの人でしょう。
前者のタイプのほうが人生における幸福度は高いといえます。
こうなるために親や周りの人はどんな関わりができるでしょう。赤ちゃんのころからの関わり方では、
- 大切に抱っこしたり、育児をする。
- たくさん見つめ合う、笑いかける。
- スキンシップを多くとる。
などをすることで赤ちゃんからも養育者からもオキシトシンという幸せホルモンが脳から分泌されます。オキシトシンが出ることで「自分は幸せだ、愛されているんだ」と感じます。
オキシトシンの効果はそれだけではありません。
- 心身ともにリラックスする(抗ストレス効果)
- 不安や心配が緩和し安らぎを感じる
- 母乳の分泌が増える
- 食欲の抑制効果(過食の防止)
- 痛みの軽減
などです。子どもにもお母さんにとってもメリットたくさんですね‼
お母さんやお父さん、ご家族の想いや関わりで幸せホルモンが分泌され、自分が大切にされていると自然と認識していく。また、日々の関わりの中でプライベートゾーンを自然と学んでいく。したがって、性教育は産まれたときから、いつでも、こまめに、がベストです✨
4~5歳ごろからの性教育
前回の記事でも触れましたが、精神分析学で有名なフロイトの心理性的発達理論についてご紹介します。フロイトは、精神分析学を発展させていく過程の中で、人間の乳幼児期から青年期までのリビドー(性エネルギー)の発達を明らかにし、どのようにして性格が形成されていくのかということを分析しました。

2021介護合格チャレンジさんからお借りしました。
なんでも口にで確かめる口唇期から始まり、トイトレの時期である排泄期を経て男根期がやってきます。
文献により多少の差はあるものの3~6歳ごろが男根期とされています。男根期は、男根の有無により見た目上の性差に意識が向き始める時期です。なぜ自分におちんちんがあるのか、なぜ自分におちんちんがないのか、と性別の差に気づき始める時期です。この時期に「男がこうあるべき」「女はこうあるべき」という扱いを受けると、それ以降の自身のジェンダーの意識に影響するとされています。
そして男根期を過ぎ、潜伏期(6~12歳ごろ)には異性に対する関心が薄くなります。同性同士で遊ぶ傾向があり、ギャングエイジの時期でもありますね。その後再び性に関心が向くとされています。
男根期には男女問わず、性に関する質問が始まる傾向にあります。
「どうやって産まれてきたの?」
「なんでお母さんにはおちんちんがないの?」
「なんで私はお母さんみたいにおっぱいがないの?」
5歳までには8割の子が性に関する質問をするというデータもあります。せっかく質問してきてくれるこの時期、性教育をするチャンスです!本格的な性のお話しが始まる、という意味で男根期である4~5歳頃をベターな時期としました。
10歳までの性教育
遅くとも10歳頃までには性教育を始めましょう、とも言われています。
その理由は思春期に入るから。思春期とは個人差が大きく8~13歳ごろから思春期だとされています。親が鬱陶しく感じる時期、友達と遊んでいるほうがずっと楽しく親に何を言われても言うことを聞きたくない時期です。また、先ほどお話ししたフロイトの潜伏期(6~12歳)を過ぎるころには、性に関心が出始めます。
そんなときに親から性の話をされるのはどう感じるでしょう。
すごく嫌な気持ちになりそうですよね。「ほっといて!そんなんどうでもいいやん!」と怒ったり、無視したりするかもしれません。かと言って、性に関する話を全くしないのもその子のためにもなりません。思春期ごろには携帯を持つ子どもも増え、たくさんすぎるほどの情報を得ることができます。ネットに溢れかえっている情報がすべて正しければいいのですが、実際がそうでもありません。間違った性の認識をして性被害にあったり、反対に性加害者側にもなりかねません。
必要な性の話はお子さんが心の扉を閉じてしまう前に、最低限でもしておきましょう(^^)
まとめ
性教育の開始時期とその理由をおわかりいただけたでしょうか。
実は産まれたその時から性教育をスタートしてくださっています。お母さんお父さんなど周りの人たちからの愛情をたっぷり受け育った子は、大きな花が咲き実をつけます(^^)
性教育というとSEXや避妊に関する話ばかりだと思いがちですが、ほかにもたくさんの要素があります。例えば、体の発達、ジェンダー、防犯、受胎や妊娠、出産などなど。一気にすべてを伝えるのは難しいため、子どもの様子を見ながらこまめにしていきましょう。
簡単な言葉を使えば幼児さんでも理解できることも多くあります。思春期の開始時期は個人差が大きいため、なるべく早いうちから始めるのがベターです。しかし、思春期に突入したからといって何もできないわけではありません。思春期の頃の親からの性教育も記事にしたいと思います✨